そうしているうちに、エレベーターは静かに、十階に辿り着く。 十階に着いたのはいいのだが、これほど高級なマンションならば、エントランスホールを通って来ているはずだ。 そこには当然、セキュリティの為のインターホンがあり、部屋の主が認めなければ、僕はここまで来る事は出来ないはずだ。 それとも、非常階段から上がってきたのだろうか。 わからない。 どうやってエレベーターに乗ったのかも、エントランスホールを通り越せたのかもわからなかった。 それとも、僕は部屋の主と話したのだろうか。