「は〜い、検温で〜す」 入ってきたのは、あかねさんではなく、年配の看護師だった。 今まで、いつも僕の病室にはあかねさんが来ていた。 用事でもできたのだろうか。 「あれ? あか……矢沢さんは?」 「矢沢さんは具合が悪いって言って早退したわ」 「そうなんですか……」 具合が悪い。 ひょっとして殴られたことが原因だろうか。 考え込む僕に、聞いてもいないのに、年増の看護師は説明をしてくれた。