「怖いなあ、相田くんは」 「うるさい」 僕は合瀬を置いて歩き出す。 科学部の部室を越え、角を曲がり階段を登る。 合瀬は、僕が階段途中の踊り場まで来た時に追いついてきた。 「江口も終わってんじゃない? もうやったの?」 江口さんの攻略のことだろう。 記号としての江口さん。 それは、坂木がみどりを好きだということがわかった今、意味をなさなくなってしまった。 合瀬ならわかるはずだ。 それなのに、何故こんな質問をするのか。