「相田くん!」 江口さんの声に、僕の意識は開放される。 暗い世界は一瞬にして晴れ、全ての物がリアルに飛び込んでくる。 合瀬は一瞬、悔しそうに顔を歪めたが、江口さんの方に向き直ると、いつもの無邪気な笑顔になった。 「江口、ちょうどよかった。何、飲むか聞いてなかった」 「う、うん……」 江口さんの後ろからは原田もついて来ている。 並んで歩いていないところをみると、あまりいい時間は過ごせなかったようだ。