「サトちゃん……」 汗で上気した顔のみどりが立っている。 暑い中、剣道着を着て、首からはタオルを下げていた。 部活の休憩時間だろうか。 「ああ……」 僕は昨日のこともあり、歯切れの悪い返事になってしまった。 みどりも何を話していいのか、わからないでいるようだ。 無理しなくていい。 話さなくてもいい。 僕に関わらなくていい。 みどりは幸せに過ごして欲しい。 それだけが僕の願いだ。