マーブル色の太陽


江口さんに伝えたことは二つ。

まず、ベランダに背を向けて座る僕に、原田が来たら、江口さんの右の耳たぶを触って教えること。

そして、二つ目は、僕が江口さんの左側の髪の毛を触ったら振り払うこと。

体も同じ。

左側は全部振り払うこと。

江口さんは、最初、何のことか分からず、きょとんとした顔をして聞いていた。

でも、深くは聞かず、すぐに同意してくれた。

わからなくていい。

そして、合図は簡単なものに限る。

それは、失敗を少なくするためだ。