教室に帰る。 江口さんは待っているだろうか。 僕はわざとゆっくり歩く。 坂木たちがいる、科学部の部室の前を避け、中庭を通り、自動販売機でジュースを買って戻る。 教室の前まで来た。 黒板側の引き戸にはまったガラスから中を覗う。 江口さんは自分の机に突っ伏していた。 泣いてはいないと思うが、やはり、いろいろ考えているのだろう。 僕が、引き戸に手を掛け開こうとした、その時だった。