高畑の姿がない。 顔を出すタイミングを誤ったか。 僕は小走りで、向こう側の階段付近にあるトイレに近づいた。 トイレを覗くと、中からゴソゴソと音がする。 高畑だろうか。 もしかして、自分の教室の近くのトイレでは用を足せないでいるのか。 そんな小学生のようなヤツに僕は……。 そう思うと、情けなくて笑いがこみ上げてきた。 トイレの鏡に映る自分の顔が卑しく歪む。 その顔を見ていると、僕の視界はゆらゆらと揺れ始めた。 その時、水洗の音と共に、トイレのドアが開いた。