「どしたの?」


江口さんが髪をかきあげながら聞いてきた。

僕は手の中に手紙を隠すと「別に」と答えた。

「ふ〜ん」とつまらなそうに言いながら、江口さんは黒板の方に顔を向ける。

僕はその隙に、手紙をポケットにねじ込んだ。



休み時間。

記号その1の高畑がひとりで教室を出て行く。

朝から観察していると、結構、ひとりで行動していることが多いようだ。

僕はこっそりと後をつける。