「大丈夫?」 授業が始まり、江口さんが心配そうに話しかけてきた。 「うん。いつものことだから平気」 「そう……」 平気。 平気なわけがない。 穢された僕の所有物や領域を見るたびに、怒りに震え、人の残酷さを呪い、そして、悲しくなった。 だけど、今日からは違う。 坂木にされた仕打ち、そのひとつひとつが僕の糧となる。 坂木に反抗する原動力になる。 絶対に許さない。