「ああ、ごめん……事件のこと考えてた……」 「……すごく……怖い顔だったよ……」 「そう? 真剣に考えてたからかな?」 「そう……? だったらいいけど……」 「うん、ごめん……ところで彼は?」 「ああ、私たちが人気のないところに行ったから、心配だったんだって」 みどりは、明るくそう言った。 たぶん、場の雰囲気を和ませるのと、黒くなった僕を見た、自分自身の衝撃を和らげるためだろう。 そんなみどりを見ていると、少し、胸が痛んだ。