『あーあー。お前もヒドイな』 急に『声』が聞こえる。 その『声』を聞いた途端、僕の思考は濁り始めた。 (何が?) 『だってお前、人間を階段から突き落としたんだぜ?』 (ああ、それか……) 僕の胸騒ぎの原因。 ああ、倉田を階段から突き落とした。 それか。 さっきからモヤモヤしていたものは。 それだけか。 たった、それだけのこと。