「ここって……男物?」 「そうだよ。さっ! 入ろう! 入ろう!」 僕はみどりに背中を押されて店内に入った。 入ったのはいいが、どこを見ていいのかわからない。 前を向けば店員と目が合い、こちらに寄って来ようとする。 洋服の選び方もよくわからないし、彼らと何を話していいのかもわからない。 いや、そもそも、どうしてみどりは男物の洋服屋に来たんだろうか。