チンという音がしてエレベーターは二階に止まる。 僕はフロアへ足を踏み入れた。 朝や日中は人でごった返す、ここ総合外来も、診察が終わった今の時間には人の気配はなかった。 それはそうだろう。 閉まった病院になんか誰も用はない。 僕はフロア全体が見渡せるソファーに座る。 目の前のガラス張りの柱に、包帯が取れて軽くなった自分の頭を映してみる。 ボサボサに伸びた髪の毛を分けると、傷口の部分は、やっぱりハゲていた。 みどりの笑っている顔が想像できる。