「サトちゃん……」 みどりが言った。 その目はアイスの棒の辺りをぼうっと見ている。 「ん?」 僕はまだ痺れる腕を動かすと、無理矢理に起き上がろうとした。 暴れた拍子にほどけた包帯が、だらりと目の前にぶら下がる。 頭を振ると、まだ鈍い痛みが残っていた。 「だ……いじょうぶだからね?」 「え? それは……どういう意味?」 みどりは僕の問いには答えず、ただ一点を見つめたまま、しきりに「大丈夫、大丈夫」と呟き続けた。 僕はそれをじっと見守ることしかできなかった。