僕は玄関から上がって、直ぐ左にある自分の部屋へ行き、カバンをベッドの上に放り投げると、制服を着たままリビングへ挨拶に行った。 どんなことがあっても、客への挨拶、両親への挨拶、そんなことは欠かさない。 何も自分が礼儀正しいというわけではない。 いつもと変わらぬ顔で、いつもと変わらぬ声で、いつもと変わらぬ挨拶をしていれば、意外に周りは気づかないものだからだ。