「それ、トロンボーンですか?」 「ん? そうなんです!」 江口さんは傍らのトロンボーンを軽く持ち上げ、嬉しそうにそう言った。 背の高い彼女には、トロンボーンがすごく似合っていた。 僕は江口さんに再びお礼を言って別れる。 江口さんは、まだ何かを言いたそうにしていたが、馬場先生との約束が本当にあることを告げると、部活の教室へと帰っていった。