無表情な緑色のリノリウムの床は、僕の足音を消してくれる。 あと三メートル。 その距離をクリア出来れば僕の今日は無事に終わる。 僕はあと何回、あと何メートル、あと何時間、あと何秒……。 そういう我慢を続けなければならないのだろうか。 あと二メートル。 小走りになりそうになる。 心が揺れる。 走れば逆に目立ってしまうかもしれない。 走れば目に付かずに渡りきれるかもしれない。