教室へと静かな廊下を歩く。 もう授業は始まっているようだ。 教室を通り過ぎるたびに、違う教科の違う教師の言葉が聞こえる。 僕のクラスから二つ離れた教室まで来た時だった。 「サトちゃん! サトちゃん!」 その声に振り向くと、みどりが教室の窓から顔だけ出していた。 「サトちゃん、言うな」 「いいじゃない」 「何してんだよ! 授業中だろ!」 「ん? 体育だよ、私ら」 「サボリか?」 「違う! 違う! いいから、ちょっと! ちょっと!」