「いいじゃない、誰もいないんだしさ」 「そんな問題じゃない」 「どんな問題なんだよう」 みどりは、僕の顔を下から覗き込み、笑いながらそう言った。 僕は昔より大きくなったみどりの瞳が、実は多すぎる睫毛のせいで以前は小さく見えていたんだと、今、気づいた。 「ねえ、これ……大丈夫なの?」 みどりは、僕の頭の包帯を心配そうにそっと触る。 「うん。もう大丈夫。怪我自体は大したことないらしい」 「じゃあ、はげてたら見せて」 「…………」 「それよりさ、お見舞い、行けなくてごめんね!」