少し早い時間の通学路には、まだ生徒の影は無い。 僕はいつもの見慣れた風景を見る。 左側の高い塀の住宅には、いつも人気を感じられない。 その先の、黄土色のマンションから出てくる女子大生は、また男とゴミ出しに出てくるのだろうか。 右側のタバコ屋のおばあさんはいつも不機嫌で、その先のゴミ捨て場にたむろして、そのおばあさんの悪口を言っているのは、タバコ屋のお嫁さん。 何一つ変わっていない。 いつもの風景。 いつもの匂い。 変わってしまったのは僕だけなんだろうか。