ぎゅっと少女の手を握り、優しく立ち上がらせる。 無理矢理立ち上がらせるのは、汚い大人たちと同じになるということ。 この少女には、『優しさ』が必要だから。 「いっしょにいきよう。…ええと、おまえのなまえは、」 「ぐす、……ない」 「そうか。ならぼくがつけよう。 ……トルガ、いっしょにかえろう。ぼくたちのイエに」 「、は…、なん、え、……え?」 いきなりのことに動揺する奴隷の手をそっとひき、少年はもう一度いった。