「お前、なきそうなカオしてる」


そう言って差し出された、ピカピカに磨かれた真っ赤な林檎。

だけど受けとれなかった。
受けとりたくなかった。

『受けとれば最後、殺されてしまうんじゃないかと思って』


そう、いつだったか言っていた奴隷。まだ幼く、服なんて捨てられた麻布を体に巻きつけたようなモノで。


小さな奴隷は噛みついた。

真っ赤な林檎に誘惑されて。それでも己に喝を入れ。

差し出された、その温かな手に。


がぶり、


彼女はすべてを拒絶した。