*正しい姉弟の切愛事情*



「今日は軽音部の仲間と打ち合わせだって。そういうユリの彼氏は?」
 

からかう調子で聞き返すと、ユリは顔を真っ赤に染めた。


「彼氏じゃないってば……」
 

恥ずかしがりながら怒る彼女が可愛くて思わず笑ってしまった。
 


ユリの彼氏――司藤大地は、

お昼によくバスケ部のミーティングが入るらしく、彼女と一緒にお弁当を食べることはあんまりないらしい。 


彼氏と一緒にお昼を過ごせないことに寂しさを感じる。


そういう感覚がなかった私は、ユリの少し切なそうな表情でさえ、キラキラと光って見えた。