*正しい姉弟の切愛事情*

 

すべてが止まったみたいだった。 


時間も、


景色も、


心臓も。



ただ温かな感触だけが、唇を満たして――


やがてその温度は離れていった。
 


依然、身動きができないまま、私は声を震わせる。



「み…、みず…」



今朝みたいに、瑞貴は走って逃げたりしなかった。


むしろ、



「一歌――」 


その腕で、私を包み込んだ。