「久野先生! なにしてんですか早く!」 「はいすいません! じゃあな一歌」 看護師長に怒鳴られて走っていく彼の後ろ姿を見て、少し笑ってしまった。 と、 「いいなー沢井先輩」 一部始終を見ていたらしいミヤちゃんが、後ろから近づいてくる。 「久野先生を狙ってた女子、いっぱいいるんですよぉ。顔もいいし、期待の星だし」 私に直接それを言ってくる分、ミヤちゃんは潔いと思う。 他の女子が影でどんなことを言っているのか――は、 気にしないことにしよう。