伸びてきた瑞貴の手が、私の右手をとらえる。 そして、伏せたままの顔元に持っていかれた。 「みず……」 動けなかった。 机の脇に立ち尽くしたまま、されるがままになる。 右手の甲に感じたのは、瑞貴の柔らかな唇。 そして、 「……一歌」 温かな吐息。 え――― 心臓が飛び跳ねた。 右手から瑞貴の体温が伝わり、全身が震える。