エリカちゃんの鋭い眼力に気圧されて動けなくなる。
と、
「石川君とは、別れたんでしょ?」
ユリが横からフォローするように優しげな声を出した。
「いつか話してたよね。社会通念上付き合っちゃいけない相手にキスされた、とか」
何も答えられないで固まっていると、エリカちゃんがベッドから降りて私の正面に座った。
そのまま細い指で両頬をとつままれる。
「い、痛」
「ひどい顔だよ、一歌」
「うぇ?」
私の頬をつまんだまま、エリカちゃんは膨れっつらになった
「せっかく美人に産んでもらったのに、魅力が3割減。親御さんに謝んなさい」
「な……」
「表情が死んでんのよ」
そう言うと指を横に引っ張って手を放した。


