涙が滲んできて、思わず言葉を切った。
うつむいた瞬間、大きな手が肩に触れる。
後ろから私の肩を支えるようにして、久保さんは明るい日差しが注ぐロビーを横切った。
すれ違う人から私を隠すように大きな身体が寄り添う。
ふたりで正面玄関を抜けると鋭い日差しがアスファルトを焦がし、熱気がじわりと肌を舐めた。
私から手を離し久保さんは言う。
「一歌さんの信頼する人は、一歌さんが苦しんで相談したら、幻滅するような人なんですか?」
私よりも年上なのに丁寧な口調を崩さず、優しい笑みを浮かべる。
裏の駐輪場から自転車を引っ張ってきた弟が、こちらに気づいて眉をひそめた。
それを見て、久保さんはにかっと白い歯を見せる。


