「それなのに、急に別れたいって言われても、ちゃんとした理由がなきゃ納得できねーよ」 眉間にシワを寄せてうめく彼の苦しみが伝わって、胸が締まる。 私が思ってたほど、簡単なことじゃなかった。 私が思ってるよりもずっと……石川君の気持ちは真剣だった。 「ご、ごめんなさ」 声が震えた。 浅はかな自分が恥ずかしい。 深く想われていることにも気付かないまま、 人の心を、簡単に踏みにじろうとした自分が。