「一歌、病院、行こ」 「え?」 唐突なセリフにぽかんとする。 弟は端正な顔を崩し、いたずらっぽく笑った。 「今日、通院日」 「あ、そうだった!」 慌ててソファから身を起こす。 突然起き上がった私をひらりとかわし、瑞貴はなおも笑みを見せた。 「忘れてんなよー」 からかうような口調に顔が熱くなる。 姉の威厳は皆無だ。 2つ下の弟に、私はすっかり翻弄されている。