「やめて!」 「やめ、ない……」 ただ止めようとするだけの言葉は、何の意味ももたない。 「言えよっ……」 頑固で、頑なで、まっすぐな瑞貴が、 欲しがっている言葉じゃないと―― 呼吸が荒い。 色白の肌が徐々に赤く変色していく。 そして弟は、きつく目を閉じた。 「いち、かっ」 「だっ――」 ダメなのに――っ! 「――――っ」 目の前の暴挙を覆い隠すように、瑞貴の手を、自分の両手で包み込んだ。