*正しい姉弟の切愛事情*


 ◇
 
自分がすごく嫌だ。

すごく、すごく。

この世から消え去ってしまいたいと思うほどに、自責の念にかられてる。


こんなことは初めてだった。

しかも、その原因がよく分からない。


明確な理由を自分で見つけ出せない。
 

……見つけ出したくないだけ、かもしれないけれど。


ただ、とにかく無性に自分に腹が立って、ただひどく悲しい気持ちになる。


できるものなら、子供みたいに泣き叫んで暴れたかった。


わだかまった感情をすべて吐き出すみたいに――


……そんなこと、実際はできるはずもないけれど。 



泣けない代わりに、私が感情をぶつける相手として選んだのはひき肉。

タマネギや卵や調味料と一緒に、ボールの中で力いっぱい捏(こ)ねる。


これでもかってくらい、捏ねて、捏ねて、捏ねまわして――

つまり、今日の夕飯はハンバーグだ。


奇しくも瑞貴の好物だけれど、決して罪滅ぼしとかそういう意図があるわけじゃない。