弱々しい声音に、痛みが走った。
胸の奥を切り裂かれたみたいな、鋭い痛み。
「みずきっ」
何を言うべきかも分からないまま叫ぶ。
けれど、弟は振り返ることなく足を踏み出し、ドアの向こうに消えていった。
階段を駆け上がる音が耳を叩く。
家全体が震えるんじゃないかと思うほど勢いよく閉められる部屋のドア。
それを頭上に聞きながら、私は立ち竦んだ。
壁にもたれたまま、頭から足先まで身体を一直線に貫かれでもしたみたいに、指一本動かすことができず、
ただじっと、耐えることしかできなかった。
胸の奥に滞留する、
名前も分からない鈍い痛みに。


