時間が止まることを願ってしまうくらい、心臓が早鐘を打って、
瑞貴の方を見るのが、恐い――
穏やかな日差しの中で、私だけ氷に取り巻かれているような、そんな気分に陥った瞬間、
不意に腕を掴まれ、私は引きずられるようにして門扉をくぐった。
目の前の黒い髪が、白シャツに包まれた背中が、苛立たしげに玄関を開き、家の中へと強引に私を引っ張りこむ。
「瑞貴……っ?」
重いドアが閉まり、明かり取りのガラスだけが弱い光を落とす、薄暗い玄関。
外の空気が遮断されたその場所で、靴も脱がず、瑞貴は下駄箱横の壁に力いっぱい私を押し付けた。


