「あれ、いちかの弟、じゃね?」 「う、うん……」 ポケットに手を突っ込んで、視線を落としたまま近づいていくる瑞貴。 その顔がこちらに気付いて、大きな瞳と視線がぶつかる―― その瞬間、 「いちか」 石川君の手に顎を持ち上げられて、 「え――?」 そのまま、悪戯っぽく笑う彼の唇が、私の唇を覆った。 心臓が、全身を震わすほどに跳ね上がる。 キス――――