「あれ、いちかって絶叫系、苦手なタイプ?」
「そんなことはない、けど」
ていうか、絶叫マシーンはちゃんと安全ベルトが付いてますもん。
「今のはなんていうか、ちょっと、吐きそうになった……かも」
そう言った瞬間、石川君の表情が驚きの色に染まる。
「え! 妊娠!?」
「……」
どこをどうしたらそういう発想に至るのか。
「……なんで、そうなるの」
謎過ぎる発言に思わず吹き出すと、石川君もふわりと笑って私の頭に大きな手を置いた。
「わりーわりー、今度からは2人の体を縄でしばっとこうな」
ラピュネみたいに、と嬉しそうに笑いながら再び自転車を転がし始める。
「……」
石川君の言っていることはたまによく分からないけれど、ちょっとずつ、彼のペースを楽しいと感じられるようになってきてる気がした。
うん、進歩だ。
この調子で、もっといっぱい話をして、距離を縮めて。
あたしはきっと、石川君を好きになれる。


