頭をよぎるのは、貫かれそうなほどまっすぐ注がれた瑞貴の瞳。
ふと、ユリがエリカちゃんの後ろから身を乗り出すように顔を覗き込んできた。
「え、石川君とそんなに進んでるの?」
私はぽかんと口を開ける。
「え?」
「……え?」
噛み合っていない思考と不自然な間に、ユリは鋭く私の脳を見透かした。
「石川君じゃ……ないの?」
「……」
友人の観察眼に改めて舌を巻く。
たぶん、ここ数日ぼうっとしていたことも全部ひっくるめてユリは何か感づいていたのかもしれない。
「え、なになに? どういうこと?」
一瞬重くなった空気の中で、エリカちゃんの明るい声が奇妙に沈黙を薄めた。


