「それじゃ、行ってきます」 「行ってらっしゃい」 自転車をこぎだしながら、小さく首を振った。 吹きかけられた毒の霧を、振り払うみたいに。 早く拭い去ってしまわなければいけない。 この毒霧は、私の中にひそむ不純な部分をめざとく見つけ出して、 私を、 家族を、 きっと腐敗させていく。