ダメだと思いながら、私はそれを受け入れてしまう。
自分が恐かった。
瑞貴の柔らかな唇に、絆(ほだ)されていく自分が――
照明を背負った瑞貴がゆっくり唇を離すと、その白い頬に影が落ちる。
唇を合わせた後、瑞貴はいつも窺うように私を見て、そしてその腕に抱きしめる。
迫ってくるときは突然で、強引なくらいなのに、
キスが終わると途端に不安げな顔をする。
そんな表情に、私の心はますます掻き乱される。
「どうして……」
瑞貴の腕に包まれたまま、私はつぶやいた。
気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合って、わけが分からなかった。
拒もうと思えば、きっと拒めるのに。
そもそも、私には彼氏だっているのに。
何度も何度も、それこそ瑞貴の匂いに馴染んでしまうほど、
どうして私は弟を受け入れてしまうんだろう――


