―――そうだ。



今は、葉月だ。

私の解答用紙なんて、二の次三の次。






「日岡さん・・・ここの先生に、なるんですか?」



動揺を隠せない葉月の声に、日岡さんは柔らかく微笑んだ。


その微笑は、葉月にしか向けられたのを見たことない、優しげなもの。




その、微笑みだけで、分かる。


本当の本当に、日岡さんは葉月のことが好きなんだと・・・。





「あぁ。先生っていうか・・・保険医だけどな。」


「な、なんで・・・・・「心配だから」



日岡さんは、真っ直ぐに葉月を見つめている。


葉月だけを。




葉月が、かすかに息を呑む気配が伝わってきて。


私の方がドキドキする。






「葉月が心配だから・・・。それが、理由。」



真っ直ぐに伝えられた言葉に、葉月が目を見開いた。