私は最強ビンボー女!

『殺されたいのか?』


海はビクッと反応した。


まさかというように、葵を窺い見る。



『お前が死んでも、どうということもない。

新しい子を産めばいいだけのこと。


海、お前は殺されたいのか?』




海は、血の気を消して、葵を見た。


縋るような視線だった。



『お母さんは、海のこと、好きじゃないの?』


葵はバッサリと言った。

躊躇うことなく。



『好きじゃないよ。海、母さんは朝霧家が安泰ならそれでいいんだ。』






何の感情も読み取れない、冷たくて平坦な声。



俺は、そのとき、分かった。


葵が――"朝霧家の社長"という仮面を付けて、海と話していると。


本当の、"朝霧葵"という、海の母親の本心を、心の奥に隠していると。




けど海はそんなことに気付くわけもなく。





ぽろぽろと涙をこぼして、叫んだ。