私は最強ビンボー女!

聞き終わると、海はキッと葵を睨んだ。


初めて海が見せた反抗だった。




『ばっかじゃない!?そんなの、やめればいいじゃん!!!

暗殺なんて、やめちゃえばいいじゃん!!!』



葵は冷たく海を見た。


『部下に殺される。

分からないか?

"やめる"ということは裏切り行為で、社長ではなくなり、ただの裏切り者となる。部下は母さんを殺すだろうよ。』


海は俺を見た。


真っ直ぐな光を宿したコバルトブルーの瞳。

俺は息が苦しくなったよ。



『でも、駄目なものは駄目だよ。そうだよね?お父さん。』



俺は俯いた。


海の言っていることは正しい。

しかし――



葵が、冷ややかな声で言った。


『海、お前は馬鹿か?

朝霧家での駄目なことこそが、"暗殺をやめる"ということなんだよ。』


『だとしても!!!海は嫌だよ!暗殺なんて、誰がするかっ!!!』


海は7歳だというのに、抗った。

思いっきり。



葵は、まるでそれを知っていたかのように、落ち着きはらった態度で言った。