私は最強ビンボー女!

がたがたと震える小さな体。


俺は、抱きしめてやりたかった。


けど、実際はそんな海を見て、立ち上がる事さえできなかった。



葵は俺とは反対に、すっくと立ち上がった。


『海、座り込むなど、だらしない。

嘘ではないと分かったんなら、立って、母さんの傍に来なさい。』


氷のように冷たい声だった。


海は真っ白な顔で、かすれた声で呟いた。


『お母さんは、知ってたの?』


『何を?』

葵は平坦な声で聞き返す。



『あの粉を入れれば、この人は死ぬって分かってて・・・

入れたの?海に、入れさせたの?』


かすれて震えていた、小さな声だったのに。

やけにその場に響いた。



葵は無表情で言った。


『そうだよ。母さんは全て知っていた。それでお前にやらせたんだ。

けど、その話は後だ。今はとりあえず、家に戻るよ。』




海が抗議の声を発する前に、葵は海の腕を掴み、問答無用で引きずった。



そして、朝霧家に帰り、海に話した。


朝霧家の仕事を。

何の感情も込めずに。