私は最強ビンボー女!

海は言ったよ。


『お母さんもお父さんも、厳しいけど、海のこと嫌いじゃないでしょ?


怒るのは、海が1番になれなかった時でしょ?

だから、悪いのは海なんだよ。


それにね。

海は、ホントはお母さんもお父さんも優しいって分かってるもん♪


いっつも、海のこと見てくれてるでしょ?

海、知ってるんだからねぇ~』



『ふふん♪』と、自慢げに話す海が、愛しくて堪らなかった。

それは、葵もだった。



でも俺たちは知っていた。

海の背負う未来を。


だからこそ、苦しかった。




そして7歳の頃――



『海、その粉を、入れるんだ。このお茶に。』

感情のこもらない声で、葵は言った。



海は何の躊躇いもなく、日本茶の中に入れたよ。

毒を。



そして1人の中年の男がそれを飲み――死んだ。


俺と葵と海は、それを影から見ていた。



海は、眠ってしまったのだと勘違いしたらしく、無邪気に言った。


『あれ?あの男の人、寝ちゃったね。疲れてたのかなぁ。』