私は最強ビンボー女!

けど、だ。


やっぱり葵は人を殺すのが嫌だった。




でも、どうしようもないんだ、と思って、暗殺を続けた。


他にどうしようもなかったから。





で、親同士で決められた婚約者である俺と結婚した。


俺と葵の間に、愛は無かった。

けど、共同意識はあって、けっこう穏やかな生活をした。


"愛する人同士"ではなく"仲間"だったと思う。

俺と葵は仲間として繋がっていた。



そして、俺たちは海を生んだ。


海はよく笑う子だった。

朗らかで、真っ直ぐな子だった。


俺たちは海に1番になれと言った。

海は笑って答えた。


『うん!海、1番になるよ。いっちばーんいい子になるからね!

海ね、お母さんもお父さんも大好きだから!』




・・・真っ直ぐだったよ、本当に。


真っ直ぐすぎて、苦しかった。

でも、葵は俺なんかよりも、きっと、ずっと苦しかったと思う。



それでも。

俺と葵は海に厳しくした。


なのに、海は『大好き』と笑った。