私は最強ビンボー女!

「昔を、思い出したくない?」


「そう。僕は臆病だから、向き合いたくないんだよ。

それに、本当に、緋月が僕に謝る必要なんてないんだ。」



噛み締めるように言葉を紡いだ葉月に、私は困惑の視線を投げかけた。





「葉月、さっきも言ったけど・・・緋月ちゃんにとっては"終わってないこと"で・・・・・・。」


「うん。でも、謝る必要なんてないんだ。

そもそも、僕は彼女のために犠牲になんてなってないんだから。」


「・・・・・・・・・へ・・・で、でも、緋月ちゃんは・・・・・・」



あわあわと言い始めた私に、葉月は静かに言った。


いい含めるかのように。





「勘違い、だよ。」


「かん、ちがい?」


「そ。緋月は僕が犠牲になったことで"救われた"と思ってる。

けど、それは違うんだ。むしろ逆。

犠牲になったのは緋月の方なんだよ。」


「・・・・・・・・・ど、どういうこと・・・?」


「そのまんま。」



『そのまんま』って・・・思いっきり緋月ちゃんと話が食い違ってるんですけどー!


っていうか、勘違いって、何さ!!!

そんなのありかよ!