どうやら、いつの間にか理事長室の前まで来ていたらしい。



「そうですね。早くあけましょう。」

平然と言いのけた律。


彼方が顔を歪ませる。

そんな彼方を楽しげに律は見る。




・・・・・・・・・・さすがは腹黒。

やることが、さりげなくえげつない。


改めて思ったが、杞憂さんに言われたのだ。

行くしかないだろう。


俺は彼方を真正面から見た。



「彼方、悪い。我慢してくれ。」


「・・・・・・・・・くそっ!分かったよ・・・・・」



彼方は渋々了承した。


と同時に、勇人がドアを開ける。




「しっつれーしまーすっ」



ドアが開かれ、その場にいた人物達に、俺らは目を見開いた。



杞憂さんに、紅狼の幹部以上。

それに、りおさんもいる。


そして―――




整った顔立ちの、男と女。