迫りくるボールをよけるほどの反射神経を持ち合わせてはいないあたし。 ハッと目をつぶった瞬間、顔面にボールを受けて鈍い痛みが走った。 「いったぁぁ……」 「ちょっ、桃華!?大丈夫?」 「あー……うん。大丈夫そう……」 そう答えた時、鼻の辺りから温かい何かが滴り落ちた。 指で拭うとそれは真っ赤な鮮血で。 「……――っ」 やだっ。鼻血がでちゃった……。 しかも、こんなに大勢の人がいるところで……。