「事実上私が貴方のお母さんにもなるのね」


ふふっと笑いながら俺を見る里奈。


・・・この瞬間。


俺は思った。




里奈はもうずっと前から俺とは違う道に進んでいたんだと。




「ふぅ、なんだかすっきりしたわ。ありがとうね?私の話に長々と付き合ってくれて」


「ああ」


「私のせいで変な風に成長してないか心配だったけど、すごくいい顔してるわ」



少し胸が痛んだ。

間違った方向に俺は進んでしまっていたから。



だけど、
今の里奈にその事を伝えるつもりはない。

だってもう
俺を支えてくれる人は現れたのだから。




「大切な人でもできたのかしら?」


「できたよ。すごく大切な人が」


「そう、よかった」



里奈は立ち上がり、俺の方を見た。


「"愛してた"わよ恭介くん」


俺も立ち上がり、里奈を見る。


「俺も"愛してた"よ」





再会と別れ。

里奈とはもう二度と会う事もないだろう。




俺は過去との決着をしっかりとつける事が出来た。